東京都足立区立の小学校で起こった学力テストの不正行為発覚後、
なぜそのようなことになってしまったのか?
テレビなどで取りざたされていますが、山梨日日新聞の方でも、
なかなか面白いことを書いてあります。
対岸の火事と思わず、
現在行われている高校入試等に絡めて、読んでみてはどうでしょうか?
点数至上主義に悩む教員計算でも回答を暗記「結果的に不正に加担してしまった。子供達には申し訳なく思う」。学力テストでの不正が明るみに出た東京都足立区西部の区立小学校の教員たちは悔悟(かいご)の気持ちを表し、振り返った。学力テストで迷走2006年4月25日。どんよりした曇り空とは裏腹に、校内にはピリピリした空気が漂っていた。「いよいよ勝負の日だ。1点でも2点でも上がるように頑張ろう」。小学校の職員室に、副校長の「決意表明」が響いた。同区が実施した学力テストをめぐって、学校現場が迷走した。
テスト対策は約3ヶ月前に始まった。教務主任から国語と算数の過去の出題を渡され、何度も児童に練習させた。問題ごとに一覧表を作り、できない問題が多い児童は居残りをさせた。4月に入ると、他教科もテスト対策の時間に充てた。
学校の平均点を上げたい校長の執念を感じた。
あまり練習を繰り返すものだから、回答を覚える児童まで出てきた。悲惨の計算問題。鉛筆を使って計算しなければ解けないはずなのに、子供達は暗記した答えを書き込んでいる。「これが教育なのか」と自問する日々が続いた。
テスト当日。幸いと言うべきか、問題は「過去問」とほぼ同一だった。持ち時間は45分あったが、多くの児童は約10分で解答を終えてしまった。「いつもと同じ問題だったけど、本当にいいの」。子供達は無邪気に笑った。
疑問に感じたのは、それだけではなかった。テスト前、副校長がそれとなく話しかけてきた。「答えを口で言うのはまずいけど、児童に間違いを気付かせるため、指で答案用紙をトントンするのはいいんだよ」
「それは不正ではないのか」。心の中でつぶやいたが、副校長はかまわず続けた。「どこの学校でもやっていることですよ」
テスト中に子どもの間違いを見つけたが、指示には従えなかった。教室に入ってきた校長はこちらをちらっと見た後、自ら指を差しながら室内を巡回していった。「僕らの責任重大」”努力”の結果は数字になって表れた。順位は区内72校中、前年の44位から1位に。校長は「基礎学習などの取り組みの成果だ」と胸を張ったが、周囲の学校からは「不正をやっているに違いない」と陰口をたたかれた。
「テストの結果で学校の評価が決まるんでしょ。僕たち責任重大だね」。何気ない子どもの一言に、言葉がなかった。
足立区は今年からテストの業者を変えた。過去問対策はほとんど意味がなくなり、事前準備も指示されなくなった。
5日、同区が今日評した各校の成績ランキング。同校は59位と大きく順位を下げ、主意の座から転落した。
□
安倍晋三首相の肝いりで始まった教育再生会議は公教育への競争原理導入を強く打ち出した。学力テストの結果公表や学校予算の傾斜配分、学校選択制の導入・・・。学校を競い合わせる施策を取り入れ、安倍教育改革を先取りしているとも言われる東京都足立区。「教育再生」に取り組む一自治体の現場から、公教育の行方を考える。 : 山梨日日新聞 7/10付